ポケットに名言を / 寺山修司

言葉を友人に持とう の一節


そのかわり私は、詩人になった。
そして、言葉で人を殴り倒すことを考えるべきだと思った。
詩人にとって、言葉は凶器になることも出来るからである。
私は言葉をジャックナイフのようにひらめかせて、
人の胸の中をぐさりと一突きするくらいは
朝めし前でなければならないな、と思った。

だが、同時に言葉は薬でなければならない。
さまざまの心の傷手を癒すための薬に。
エーリッヒ•ケストナー
「人生処方詩集」ぐらいの効果はもとより、
どんな深い裏切りにあったあとでも、
その一言によってなぐさむような言葉。